KOSPI強気転換、5月8日の選別相場

2026年5月8日にKOSPIが強気レジームへ転換。サムスン電子への外国人2.5兆ウォン売越しと、AI基板・HBM・韓国防衛株への資金流入が交錯する選別相場の構造を国際投資家向けに分析する。

5月8日、韓国株式市場はレジームがKR NeutralからKR Bullへと格上げされた。KOSPIの50日移動平均線上位銘柄比率(MA breadth)は57.3%、米国市場も59.3%。VIX指数は17.1と落ち着いており、リスク選好は持続している。

しかしこのブル転換の中で市場が見せた顔は一枚岩ではなかった。「ポジティブなニュース」が株価を押し上げた銘柄がある一方、決算でコンセンサスを超えても急落した銘柄もあった。5月8日のKOSPIを動かした三つの断層を整理する。


断層①:サムスン電子(005930.KS)— 目標株価引き上げと外国人大量売りの同居

韓国最大の半導体・電機メーカーであるサムスン電子(Samsung Electronics、005930.KS)は、5月8日に国内証券会社から目標株価を32万ウォン→40万ウォンへ引き上げられた。HBM4ベースダイの開発進捗、テスラ向け2nm AIチップの設計受託、DRAM/NAND ASP(平均販売価格)の上昇が主要な根拠として挙げられた。ファンダメンタルズの方向性は明確に上を向いている。

ところが同日、外国人投資家の行動は真逆だった。外国人は単日で2兆5,500億ウォン(約2,700億円相当)を売り越した。5日間の累積では依然として純買いを維持しているものの、この単日の大規模売越しはKOSPI大型電気電子セクター全体に下方圧力をかけた。RSI(相対力指数)は80.9と過熱圏に入っており、中期のテーマとしては正しいが株価がすでに相当程度を先取りしているという判断が働いた可能性が高い。

「なぜ外国人は韓国の半導体大型株を売っているのか?」という問いへの現時点での答えは、需給サイクルの一時的な過熱修正であり、テーマの否定ではない。ただし、単日での売越し規模がこれほど大きい場合、この流れが週をまたいで続くかどうかが、6月に向けたKOSPIのシナリオを分岐させる最大の変数になる。


断層②:LIG넥스원(012450.KS)— 決算ビートの翌日に-11.5%

韓国の防衛・誘導兵器メーカーであるLIG넥스원(LIG Nex1、012450.KS)は、2026年第1四半期の決算でコンセンサスを上回る結果を発表した。売上高は1兆1,700億ウォン、営業利益1,711億ウォン、営業利益率(OPM)14.7%。天弓(Cheongung)対空ミサイルシステムや天武(Chunmoo)多連装ロケット砲など、韓国製精密誘導兵器の輸出が牽引した。「K防衛産業」の収益化が着実に進んでいることを示す数字だ。

しかし株価は発表後に**-11.5%**と急落した。

これはK防衛産業のテーマ終焉を意味しない。典型的な「期待値の先行」だ。輸出契約の計上タイミングが四半期によって大きく変動するという構造的な特徴が、投資家の期待値管理を複雑にしている。ハナ証券が設定した目標株価は111万ウォンで、ファンダメンタルズへの評価は変わっていない。

注目すべき次の条件は三点だ。92〜95万ウォンのサポートゾーンで株価が下げ止まるか、第2四半期のOPMが12〜14%のレンジを維持できるか、そして新規の海外受注・納品確認が出るかどうか。良い企業が「良いエントリー価格」になるまで待てる局面に移行した。


断層③:大徳電子(000220.KS)— AIサブストレートに本物の資金流入

対照的に最も力強い動きを見せたのが、**大徳電子(Daeduck Electronics、000220.KS)だ。FC-BGA(フリップチップ・ボールグリッドアレイ)やMLB(多層基板)など、AIサーバー・ネットワーク向け高付加価値基板を手掛ける同社は、5月8日だけで外国人が+220億ウォン、機関投資家が+580億ウォンを純買い越し。5日間騰落率は+7.69%、EPS(1株当たり利益)のコンセンサスは直近28日間で+22.76%**上方修正された。

大徳電子の位置づけはシンプルだ。AIインフラ投資の波がGPU購入からそれを繋ぐ基板・パッケージング部材へ波及するトレンドにおいて、韓国側の代表銘柄の一つである。KOSPI全体で外国人が半導体大型株を売り越す局面でも、大徳電子には明確な買いが継続して入ったという事実は注目に値する。

ただし、価格は5日間で大きく上昇した。12万ウォン以上のサポート維持と、外国人・機関双方による連続純買いの確認が、次のエントリー判断の条件になる。


SK하이닉스(000660.KS)とHBMローテーションの論理

SK하이닉스(SK Hynix、000660.KS)については、ミレアセット証券(Mirae Asset)が目標株価を200万ウォンから270万ウォンへ引き上げた。HBM3E/HBM4の技術リーダーシップとASP上昇見通しが根拠で、2026年のHBM関連売上は54兆ウォン、2027年には75兆ウォンへの成長が見込まれる。

市場の一部に見られる動きは「サムスン電子の一部をより純粋なHBMエクスポージャーを持つSK하이닉스へシフトするリバランス」だ。これは半導体セクター全体への新規資金投入ではなく、同セクター内での質的な入れ替えを意味する。両者は似て非なる戦略だ。SK하이닉스の場合、KR Metaスコアのファンダメンタルズは優れているが、5日間での外国人・機関合計売越しは大きく、短期の過熱解消を確認してからの判断が望ましい。


三星電機(009150.KS)— 目標株価130万ウォン、ただしRSI 84

三星電機(Samsung Electro-Mechanics、009150.KS)は、ミレアセットがFC-BGA/MLCC(積層セラミックコンデンサ)の需給逼迫シナリオを根拠に目標株価を53万ウォンから130万ウォンへ大幅引き上げた。2028年度EPS予想34,764ウォン(PER 37倍適用)という強気シナリオだ。AIインフラ拡張に伴うFC-BGA需要と、AIデバイス向けMLCCの同時逼迫という構造変化が前提となっている。

しかし現時点ではRSI 84.2と過熱圏で、外国人の売りも観測される。通常の上昇サイクル分は相当程度織り込まれた可能性がある。「テーマは正しいが、エントリーには冷却を待つ」という構図はサムスン電子と共通している。次の確認ポイントは第2四半期の営業利益3,813億ウォン以上の達成と、外国人の再流入だ。


5月8日のKOSPIが示す市場構造

5月8日を一言で表すなら、「強気相場移行期における選別の深化」だ。

外国人はKOSPI大型半導体を売り越す一方、AIサブストレート・防衛・HBMといった細分化されたテーマには引き続き資金が向かっている。KOSPI全体がリスクオンになるのではなく、「理由のある買い」と「過熱修正」が同時進行するフェーズに入った。

マクロ背景を整理すると、VIX 17.1でリスク選好は安定、米国10年債利回り4.39%で割引率の急騰リスクは限定的、ブレント原油は100.11ドルと高水準だがこの5日間で14ドル超下落と緩和方向にある。ウォン/ドルは1,465.88ウォンだが、5日間で5.85ウォン改善した。


来週のカタリスト

日付イベント注目点
5/12Pearl Abyss(263750.KS)第1四半期決算Crimson Desertのユーザー継続率と課金初期指標
5/13アリババ(BABA)FY2026通期決算クラウド・AIインフラ部門の収益化進捗
5/27マーベル・テクノロジー(MRVL)Q1 FY2027決算コールAI interconnect・カスタムシリコン成長率のガイダンス

KOSPIが「強気」レジームにあることは確認された。問題は、その強気相場の果実がどのセクターと銘柄に集中するかだ。5月8日の市場は、その答えへの重要な手がかりを提供した。

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