KOSPI 急落より深刻な「市場の幅」の縮小
2026年6月2日、韓国株式市場は全面安となった。KOSPI(韓国総合株価指数、約800銘柄で構成される韓国の主要ベンチマーク)は14時15分時点で8,687.25ポイント(前日比-1.15%)、新興市場指数のKOSDAQは1,025.68ポイント(-2.32%)と、より大きな下げを記録した。
だが今日の相場で注目すべきは指数の下落幅ではなく、市場の幅(ブレッドス)の急速な悪化だ。50日移動平均を上回る銘柄の比率はわずか18.8%、200日移動平均を上回る銘柄も31.6%にとどまった。騰落レシオは約47%と明確な弱さを示している。
運用スクリーナーは依然「BULL」シグナルを点灯させているが、発掘スクリーナーと日中の値動きはブレッドスの悪化をより強く警告していた。今日は「5月以降に過熱した大型株相場が利益確定を受けた日」として整理するのが適切だろう。市場構造の転換点ではなく、調整局面の一コマだ。
セクター明暗:勝者と敗者の分岐点
堅調セクター:通信、保険、ロボティクス・AIインフラの一角が相対的な強さを維持した。
調整セクター:基板・IT部品株に大規模な利益確定売りが入り、医療・精密機器、建設、証券も軟調だった。
特に基板株の調整は顕著だった。サムスン電機(Samsung Electro-Mechanics、009150.KS)をはじめとするMLCC・FC-BGA関連銘柄は、5月の急騰後に利益確定の波を受けた。外国人・機関投資家の再流入を確認するまで、即座の再参入は時期尚早との見方が多い。
サムスン電子:価格は強いが、需給が警告サイン
**サムスン電子(Samsung Electronics、005930.KS)**は今日+3.3%、直近5営業日では+20.6%と市場をリードする強さを見せた。しかし需給の内訳は注意を要する。
- 外国人:-3兆9,400億ウォンの大規模売り越し
- 機関投資家:+1兆1,000億ウォンの買い越し
- プログラム売買:-2兆9,900億ウォンの売り越し
価格と相対強度(RS)はともに「主導権維持」を示している。一方、外国人とプログラム売買の売り越し規模は無視できない水準だ。エヌビディアのAI PC・ローカルAIインフラへの投資拡大、HPEの好決算サプライズ、フィジカルAI協力への期待がメモリ・AIハードウェアの需要ナラティブを下支えしているが、360,500ウォン水準を1〜2営業日維持できるかが目先の分水嶺となる。
NAVER:ジェンソン・ファンが名指しした「フィジカルAI候補」
**NAVER(035420.KS)**が今日の話題株だ。1日+3.3%に対して直近5日は+40.3%という急騰を演じた。
背景にあるのは、エヌビディアCEOジェンソン・ファンが韓国のロボティクス・フィジカルAI協力について言及した際、NAVERが繰り返し「連携候補」として浮上したことだ。NAVERはシリコンバレーに匹敵するAI研究拠点(NAVER Labs)を保有し、自律走行・ロボティクス分野への投資でも知られる。
ただし5日間で40%超の上昇は、短期的な過熱リスクを孕んでいる。モメンタムの質自体は改善しているが、新規参入よりも現在の市場エクスポージャーの管理局面と見るべきだろう。
ハンミ半導体:機関の大規模売りと空売り圧力
**ハンミ半導体(Hanmi Semiconductor、042700.KS)**は本日-6.0%、5日間では-16.3%の急落となった。HBM(高帯域幅メモリ)向けTC Bonderの主要サプライヤーとして、AI半導体テーマの中核銘柄の一つだ。
需給の悪化が際立っている。機関投資家が600億ウォンを売り越し、空売りも増加した。外国人は小幅買い越しを維持しているが、それだけでは下げを支えられていない。AIおよびHBM関連の事業価値は毀損していないが、短期的な需給は明確な調整シグナルを発している。
マーベル・テクノロジー:「次の1兆ドル企業」宣言の波及
米国市場では**マーベル・テクノロジー(Marvell Technology、MRVL)**が注目を集めた。ジェンソン・ファンがマーベルCEOの基調講演の場でマーベルを「次世代1兆ドル企業」と言及したとの情報が複数ソースで確認されたためだ。同社は公式IR上で102.4Tbps対応のAI・クラウドデータセンター向けスイッチの発表も行っており、AIインフラ受注の厚みを示した。
これは韓国のメモリ・パッケージング株にも間接的に恩恵をもたらすナラティブだ。AI加速インフラへの投資がサプライチェーン全体の需要を押し上げる構図は変わっていない。
スクリーナーが捉えた新興候補:SK HynixとDoosan Robotics
本日の発掘スクリーナーで浮上した銘柄をいくつか紹介する。
SK Hynix(SK하이닉스、000660.KS):相対強度(RS)98.7と最上位圏に位置し、HBMとDDR5でメモリ相場の主導銘柄。ただしRSI 81.7は短期過熱を示しており、新規参入は押し目形成を待つのが賢明だ。
SK Square(402340.KS):RS 98.9とスクリーナートップ。SK HynixのアンブレラホールディングスとしてHynixのアップサイドにレバレッジをかけた性格を持つ。
Doosan Robotics(두산로보틱스、454910.KS):本日+20.4%と急騰し、取引代金でも上位にランクイン。フィジカルAI・ロボティクスへの関心が世界的に高まる中、注目度が急上昇している。
Korea Circuit(코리아써키트、007810.KS):RS 98.5ながら本日-8.9%と逆行安。基板株の調整後の再参入候補として注目できるが、価格安定と外国人・機関の買い再開を確認してから判断すべきだ。
6月4日再開場へ:何を見極めるか
2026年6月3日(水)は韓国市場休場となる。実質的なチェックポイントは6月4日の再開場だ。
投資家が確認すべき主なポイントは三つある。
- サムスン電子の外国人需給:-3.94兆ウォンに達した売り越しが緩和されるか
- ハンミ半導体の機関・空売りのピークアウト:-600億ウォンの機関売りが一巡したかどうか
- 市場ブレッドスの回復:50日移動平均を超える銘柄比率が20%台を回復するか
今日の相場が示したメッセージは明確だ。「AIインフラのテーマは生きている。だが韓国市場は5月の過熱を消化している」。6月4日に向けた合言葉は「攻勢よりも、需給の検証」だろう。
本稿は公開情報に基づく市場分析であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。