7月3日の韓国株式市場は、前日に急落を引き起こした「メタ・プラットフォームズのAIインフラ縮小」懸念を一気に打ち消す展開となった。KOSPI(韓国総合株価指数、約800銘柄で構成)は午後2時45分時点で8,025.01ポイント、前日比+4.93%と急反発。一方、中小型・成長株が集まるKOSDAQは860.20ポイントで-0.75%と逆行した。今日の上昇は韓国市場全体の回復ではなく、半導体大型株に資金が集中した選別的な反発だった。
なぜ今日、半導体株だけが急反発したのか
前日、メタが余剰コンピューティングリソースを外部販売する計画が報じられ、一部が「AI需要鈍化のシグナル」と解釈した。これを受けてHBM(高帯域幅メモリ)関連株を中心に売りが膨らんだ。
7月3日はその解釈が覆った。ミレアセット証券(韓国最大手の独立系証券会社)はメタの計算能力外部販売を「AI需要の鈍化」でなく「遊休リソースの収益化戦略」と再定義するリポートを発表。NH投資証券も同様の見解を示し、機関投資家の反発買いを後押しした。
KOSPI全体の売買代金は28.74兆ウォン(約3.3兆円)と活況。KOSDAQの8.00兆ウォンを大きく上回り、資金が大型半導体株に一極集中した一日だった。
SKハイニックスとサムスン電子:機関と外国人の需給が真逆
SKハイニックス(000660.KS):セクター最強の+10.9%
SKハイニックス(000660.KS)は世界第2位のDRAMメーカーで、HBMではエヌビディア向けの最大サプライヤーとして知られる。この日は前日比+10.9%と本日の韓国市場で最大の上昇幅を記録した。
注目すべきは需給の乖離だ。機関投資家は2.57兆ウォン(約2,970億円)の純買越しで株価を強力に押し上げた。一方、外国人投資家は1.76兆ウォンの純売越し、プログラム売買も1.21兆ウォンの売り越しと、機関と外国人が真逆の行動をとった。
なぜ外国人投資家はSKハイニックスを売り続けているのか? ウォン高懸念と、HBM需要の持続性に対するグローバル機関の保守的な評価が主因として挙げられる。7月10日前後に予定されるADR・ナスダック関連のモメンタムイベントが、この需給のねじれを解消するかどうかが次の焦点となる。
サムスン電子(005930.KS):+8.2%も外国人は売り
サムスン電子(005930.KS)は韓国最大の電子機器・半導体メーカーで、DRAMとNAND型フラッシュの両方で世界最大の生産能力を持つ。この日は+8.2%と大きく反発したが、外国人投資家は386億ウォンの純売越しを継続した。機関投資家の1.31兆ウォン買い越しが相場を下支えした形だ。
7月7日に予定される2026年第2四半期の暫定業績発表が最大のカタリスト。市場では半導体部門の利益改善を先取りする動きが出ているが、公式数値が出るまで方向感を固めにくい局面が続く。
DRAM価格:第3四半期に最大20%引き上げの交渉が進行中
複数の市場チャンネルで浮上しているのが、第3四半期のDRAM価格交渉だ。AIサーバー向け需要が価格の底を支えているとの見方が広がり、最大20%の引き上げ交渉が進んでいるとの情報が流れている。
ただし留意が必要だ。この情報には中国メディアを経由した情報源が含まれており、大手メモリメーカー各社の公式リリースやKRX(韓国取引所)・DART(電子公示システム)を通じた開示で裏付けが取れていない。価格転換の実態は、7月の決算シーズンにおける主要ハイパースケーラーの設備投資(capex)公表と受注残高の推移で確認することが重要だ。
市場の幅はまだ狭い:全面回復との誤読に注意
今日の急反発を「韓国株全体の回復局面入り」と読むのは時期尚早だ。韓国市場全体のブレッドス指標では、50日移動平均線を上回っている銘柄が全体の14.6%、200日移動平均線を上回っているのは22.8%にとどまる。
KOSDAQが-0.75%と逆行した事実も、この構造を如実に示している。本日の上昇は市場全体のリスクオン転換ではなく、半導体大型株への選別的な機関の買い戻しと解釈するのが適切だ。
中国AIの効率化:長期で押さえるべきリスクゲート
今日の反発に水を差す議論も出ている。DeepSeekをはじめとする中国発のソフトウェア効率化技術が進化し、AIモデルのHBMへの依存度を下げる可能性だ。現時点で即座に売り材料となるわけではないが、「AI拡張=HBM需要無制限」という単純な前提は成立しなくなっている。
7月の決算シーズンで各ハイパースケーラーが開示するAI投資計画の実態と受注残高が、このリスクゲートを評価する最初の機会となる。エヌビディアの決算(2026年8月予定)も含め、需要の実態確認が続く数週間だ。
新規注目候補:半導体テスト・素材領域での動き
大型株の陰に隠れているが、今日のスクリーニングでは半導体関連の中小型銘柄にも興味深い動きが出た。
ティーエスイー(TSE、060590.KS) は半導体テスト装置メーカーで、相対強度(RS)97.7と高く、ミネルヴィーニ・トレンドテンプレートを通過した。半導体テスト需要の拡大を追う中期的な注目候補として浮上している。
インテクプラス(Intec Plus、064290.KS) は半導体検査装置を手がける中小型銘柄。RS97.3、出来高倍率2.24倍と需給面で強さを示すが、直近の利益の質に懸念があり、追撃より業績確認が優先される局面だ。
LTC(238040.KS) は半導体素材・化学系の代替候補。上記2社と比べて財務指標が相対的に安定しており、セクター内での多様化を図る観点で関心リストに値する。
既存の注目銘柄では**サムスン電機(Samsung Electro-Mechanics、009150.KS)**が+3.3%と反発し、外国人が129億ウォンの買い越しに転じた。ただし機関は97.6億ウォンの売り越しで、需給は依然として割れている。**ハンミ半導体(042700.KS、韓国の半導体ボンディング装置メーカー)**は+5.9%と上昇し外国人・機関が双方向で買い越したが、空売りも観測されており、趨勢の持続性は引き続き確認が必要だ。
来週に向けて確認すべき3つのポイント
1. サムスン電子の暫定業績(7月7日) 第2四半期の半導体部門利益が市場予想を超えるかどうか。これが直近の最大のバイナリーイベントだ。
2. 外国人の売りが止まるか(SKハイニックス) 機関主導の反発が持続するには、外国人の純売越し(本日-1.76兆ウォン)が縮小に転じる必要がある。7月10日前後のADR・ナスダック関連イベントが触媒になりうる。
3. 小型・中型銘柄への波及 ティーエスイー・サムスン電機・ハンミ半導体の3銘柄が現在の需給水準を維持できるかどうかが、今回の反発が「幅」を持った本格的な回復なのか、局所的な大型株買い戻しに過ぎないのかを判断するリトマス試験紙となる。
本記事はKOSPI・韓国証券市場に関する情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。記載の数値は現地時間午後2時45分時点の確認値です。