2026年7月6日の韓国株式市場(KOSPI)は、ファンダメンタルズと市場需給が真逆の方向を指し示した一日だった。TrendForceがDRAMおよびNAND価格の上昇予測を再び上方修正した日に、韓国銀行(BOK)はサムスン電子とSKハイニックスの単一銘柄レバレッジETFに対する懸念を公表した。半導体の価格サイクルは回復に向かう一方、国内市場の需給構造に積み上がったレバレッジリスクが今日の株価を押し下げた。
今日の韓国株式市場:全体像
KOSPI連動ETFであるKODEX200は前日比−0.7%、KOSDAQ150連動のKODEX KOSDAQ150は−2.9%と、成長株の下げが際立った。
セクター別の明暗は鮮明だ。半導体素材・部品・装置(소부장)ETFは平均−3.6%、バイオテクノロジーは−5.4%、AI電力インフラは−5.1%とそれぞれ大幅安となった。一方で自動車、造船、防衛・宇宙、証券・金融の一部は相対的に堅調に推移した。
テクニカル指標でも全体の弱さは確認できる。50日移動平均を上回る銘柄は全体の15.8%、200日移動平均を超える銘柄は22.7%にとどまり、相場の幅は依然として狭い。市場スクリーナーはベア35/100とニュートラルの混在を示しており、強気に傾ける状況にはない。
サムスン電子(005930.KS):価格は上昇、しかし外国人は売った
韓国最大の半導体メーカー、サムスン電子は前日比+2.7%の318,000ウォンで引けた。市場全体が下落した中での相対的な強さは目を引く。
しかし需給の中身は異なるシグナルを発している。外国人投資家は6,425億ウォンの大幅売り越し、プログラム売買も5,317億ウォンの売り越しを記録した。機関投資家の買いは122億ウォンにすぎない。
価格が上がったのに外国人が売ったのはなぜか? この矛盾した動きの背景には、単一銘柄レバレッジETFや個人の信用買い(빚투)による技術的な需要が、機関・外国人の組織的な売りを吸収した可能性が高い。韓国銀行が本日まさにこの点を問題視した事実は、短期的な需給の歪みを裏付ける。
SKハイニックス(000660.KS):機関が1.36兆ウォン売った理由
SKハイニックスは前日比−3.4%の2,343,000ウォン。週足ベースでは−10.8%と大幅調整だ。特筆すべきは機関投資家による1兆3,589億ウォンという規模の売り越しで、通常の利益確定を超えたポジション整理が疑われる水準だ。
この動きを読み解く鍵の一つが、7月10日のナスダックADR(米預託証書)上場というイベントだ。KOSPI上場株がナスダックにADRとして追加上場するケースは主要企業では珍しく、上場前に国内株式ポジションを削減してADRに乗り換えようとする動きが、今日の機関売りの一部を説明する可能性がある。
ADR上場後の効果は中期的に見ればポジティブだ。米国の機関投資家・個人投資家が直接アクセスしやすくなり、ニューヨーク時間での価格発見がソウル市場に即日反映されるため、グローバルな情報効率が高まる。ただし今日の国内需給は、この中期的なポジティブ材料を吸収する余裕を持っていなかった。
TrendForceのDRAM・NAND価格上方修正:ファンダメンタルズは生きている
7月6日に注目すべきもう一つの材料が、TrendForceによるDRAMおよびNAND型フラッシュメモリの価格上昇予測の再上方修正だ。
TrendForceは半導体価格調査の主要調査機関であり、その見通し変更は業界の供給需要バランスを映す信頼性の高い指標として広く参照される。今回の上方修正は、主要メモリメーカー(サムスン電子・SKハイニックス・米Micron)の価格交渉力が強まっていることを示し、2026年下半期のメモリサイクル回復シナリオを補強する。
市場がこの材料に即日反応しなかったのは、短期的なレバレッジリスクと需給の歪みが、中期的なファンダメンタルズを一時的に覆い隠しているからだと解釈できる。
韓国銀行の警告:37.7兆ウォンの信用リスク
本日最もシステミックな意味を持つニュースは、韓国銀行(BOK)によるレバレッジETFと信用取引への懸念表明だ。
韓国銀行は、サムスン電子とSKハイニックスを対象とした単一銘柄レバレッジETFと、残高37.7兆ウォン(日本円換算で約4.2兆円)に膨らんだ信用取引(빚투)がシステミックリスクになりうると警告した。
この規模の信用取引が積み上がった相場では、株価が一定水準を割り込むと強制売りが連鎖するリスクがある。今日のサムスン電子における「価格上昇・外国人大幅売り越し」という矛盾した動きも、こうした構造的な需給の歪みを示す証左だ。
外国人や機関が組織的に売っている一方、レバレッジETFや信用買いを通じた個人の需要が価格を下支えしているとすれば、その均衡が崩れた際のボラティリティは通常より大きくなりうる。
半導体バリューチェーン:素材・基板の選別
関連材料として、大手CCL(銅張積層板)メーカーであるKingboard Holdingsが価格引き上げを実施したことが確認されており、基板コストの一部が上昇している。一方、NvidiaのKyberラックサーバーの出荷遅延に関する憶測が広がり、AI関連サプライチェーン全体のセンチメントを圧迫した。
韓国の半導体素材・部品・装置セクターでは、スクリーナー上位に複数の銘柄が浮上した。相対強度(RS)が97.5と極めて高いTSE(039310.KQ)、RS96.7のIntec Plus(064290.KQ)、タングステン価格転嫁と切削工具大手OSG向け実績上方修正を背景に前日比+18.1%・出来高3倍増となったYG-One(019210.KQ)などが注目を集めた。ただし今日のソブジャンETFは全般的に弱く、追随買いよりも調整後の確認を優先する局面だ。
セクターローテーション:自動車・造船・防衛に資金流入
リスクオフ相場の中で際立って強かったのが自動車・造船・防衛だ。HD現代重工業(329180.KS)などの造船株、韓火エアロスペース(012450.KS)や韓国航空宇宙産業(047810.KS)を含む防衛・宇宙株は、半導体依存度が低い景気敏感バリュー株として資金の受け皿となった。韓国の防衛輸出は欧州・中東向けに拡大しており、これが構造的なテーマとして評価されている面もある。
明日の焦点
SKハイニックスの機関売り1.36兆ウォンが「一過性」か「連続」かは、明日の需給動向で判断される。7月10日のナスダックADR上場前後の価格変動がソウル市場にどう波及するかも注目点だ。レバレッジETFのプレミアム推移と信用融資残高の増減は、今日のBOK警告を受けてより注意深くモニタリングされることになる。
TrendForceの価格上方修正が実際の四半期業績(SKハイニックスQ2決算)に反映されるタイミングが近づくにつれ、ファンダメンタルズと短期需給の乖離が解消される局面が訪れる可能性はある。問題はそれまでの間、レバレッジポジションがどれだけ耐えられるかだ。