米国債利回り5%でも米国株指数が持ちこたえる理由は、利益期待と指数の集中です

米10年債利回り5.18%、30年債利回り5.47%、高い原油価格にもかかわらず、S&P 500はほぼ横ばいでした。実質金利、利益予想、市場の広がりを分けて見ると、指数の底堅さと市場内部の弱さを同時に読み取れます。

米国10年国債利回りは5.18%、30年債は5.47%まで上昇しました。それでも9月24日のS&P 500は0.02%安にとどまりました。ブレント原油も高水準です。なぜ株式市場は崩れていないのでしょうか。12

指数が底堅い理由と、市場全体が健全である理由は同じではありません。企業利益予想と一部の大型株が指数を支えています。同日、11業種のうち8業種が下落し、下落銘柄数は上昇銘柄数の1.9倍でした。金利と原油価格の重荷が消えたと結論づけるには早い状況です。2

米国債利回りと株価指数は9月24日の米国市場終値で比較します。現物原油価格は、米エネルギー情報局(EIA)が9月22日までに公表したデータを使います。日付と商品が異なる原油価格を一つの時系列としてつなげません。3

前回の記事金利5%より重要なこと、AI利益は現金として残るのかでは、個別企業の現金回収を確認しました。今回は指数全体と構成銘柄の動きの差を見ます。

金利上昇の大半は実質金利によるものでした

高い名目金利だけを見ると、インフレ懸念が再び強まったように思えます。しかし、米財務省の同じ年限のデータを1カ月隔てて比べると、別の姿が見えてきます。14

米国債利回り8月24日9月24日変化
10年名目4.70%5.18%+48bp
30年名目5.23%5.47%+24bp
10年実質2.38%2.85%+47bp
30年実質2.97%3.21%+24bp

1bpは0.01パーセントポイントです。財務省の利回りは、取引所で特定の債券が成立した価格ではありません。国債市場の気配値から算出した、一定年限の利回りです。

10年名目金利は48bp上昇し、物価連動国債に基づく10年実質金利は47bp上昇しました。名目金利から実質金利を単純に差し引いた値は2.32%から2.33%へとほぼ変わりませんでした。この差にはインフレ見通しだけでなく、流動性やリスク補償も含まれます。純粋な期待インフレ率として解釈すべきではありません。4

株式市場にとって重要なのは、実質割引率が上昇したことです。遠い将来の利益を現在価値に換算する際、より高い利回りが求められます。ただし、実質金利上昇の原因が強い成長期待なのか、国債の需給や長期保有リスクの再評価なのかは、この表だけでは判別できません。

利益予想がバリュエーション倍率の低下を一時的に相殺しています

株価指数の水準は単純化すれば、予想1株利益と、その利益に対して支払われる倍率の積です。金利が上がれば倍率が低下することがあります。同時に利益予想が上昇すれば、指数価格は横ばいにとどまることもあります。

FactSetによると、6月末から8月末にかけてS&P 500の2026年1株利益予想は6.1%上昇しました。11業種のうち7業種で年間利益予想が上方修正されました。ただし、最後の観測日は8月31日です。9月下旬の金利上昇がすべて反映されているとは言えません。5

9月24日、ReutersはS&P 500が予想利益の19倍未満で取引され、最近の利益期待の上方修正のかなりの部分をAI関連の大型株がけん引したと報じました。これは指数が底堅い理由の説明にはなります。利益増加が幅広い企業に広がった証拠ではありません。2

例えば、予想利益が10%増え、評価倍率が10%下がると、両者を掛け合わせた株価は約1%下落します。これは説明のための計算です。市場が実際にそれぞれ10%を織り込んだという意味ではありません。

指数が横ばいの陰で、業種と銘柄は下落しました

S&P 500は時価総額加重指数です。企業規模の大きい銘柄ほど指数への影響が大きくなります。6 9月24日の指数終値と市場内部の動きを合わせて見ると、「株価が持ちこたえた」という表現の範囲は限られていることが分かります。

9月24日の観測示していることまだ示していないこと
S&P 500は7,704.13、前日比-0.02%指数水準はほぼ維持された平均的な銘柄も強かった
11業種のうち8業種が下落弱さは複数業種に及んだ長期下落トレンドが確定した
下落銘柄数は上昇銘柄数の1.9倍当日の市場の広がりは弱かった同じ状態が続く

この3つの数値は、Reutersが9月24日に集計したものです。2 1日の市場の広がりだけで弱気相場を宣言することはできません。しかし、指数だけを見て高金利の影響をすべて吸収したと結論づけることもできません。

最も強い反論は、企業が高金利に耐えられるほど実際に成長しているというものです。その場合、時間の経過とともに上昇銘柄が増え、非エネルギー業種の利益予想も維持されるはずです。逆に、指数だけが持ちこたえ、利益予想の引き下げや年初来安値の銘柄が広がれば、現在の横ばいはショックが遅れて表れている場面かもしれません。

原油価格は水準、方向、利益の帰属先を分けて見る必要があります

原油高は消費者やエネルギーを多く使う企業にとってコストです。同時に、生産、精製、輸送、貯蔵設備にとっては、売上や価格交渉力の機会にもなります。どの企業が利益を得るかは、原油価格だけでは決まりません。

EIAの現物価格では、9月15日から22日にWTIは1バレル107.02ドルから96.41ドルへ、ブレントは130.80ドルから114.89ドルへ下落しました。依然として高い水準ですが、同じ現物価格の時系列では下落しています。3 Reutersが報じた9月24日のブレント先物価格は1バレル107ドル前後で、日付も商品も異なります。両者を直接つないで下落率を算出すべきではありません。2

9月24日の米株価指数は、米国とイランが段階的に協議する可能性が報じられた後、取引時間中の安値から回復しました。市場が将来の供給緩和を期待することはあり得ます。協議に関する報道は、実際の原油輸送や供給が回復したとの確認ではありません。2

原油生産企業だけを見る必要はありません。精製マージンと処理量がともに改善すれば製油所が、貨物量と契約運賃が維持されればパイプラインや輸出設備が利益を得る可能性があります。資本コストの上昇で新規設備の建設が遅れれば、すでに許認可を得て稼働している資産の希少性が高まることもあります。これは投資仮説です。設備停止、規制料金、高い保守費用が利益を消す可能性もあります。

次の判断では利益の広がりと資金調達を確認します

今後は次の4つの問いを合わせて確認する必要があります。

  1. 実質金利がさらに上昇した場合、非エネルギー企業の利益予想は維持されるか。エネルギー企業の利益増加が、運輸、消費財、資本財の利益率低下を覆い隠すことがあります。
  2. 指数と平均的な銘柄がともに上昇しているか。時価総額加重指数と等ウェイト指数、上昇・下落銘柄数、年初来安値を付けた銘柄を一緒に見ます。
  3. 原油価格が下がるとき、実際の供給も回復しているか。先物価格だけでなく、輸送量、精製マージン、石油製品在庫、企業のコスト転嫁状況を確認します。
  4. 企業は必要な投資を自社の現金で賄えるか。営業キャッシュフロー、設備投資、借換期限、支払利息を合わせて見ます。既存設備の価値も、投資収益率が資本コストを上回る場合に限り意味を持ちます。

業種全体で利益予想が維持され、市場の広がりが改善すれば、現在の株価の底堅さを実際の回復力として再評価できます。反対に、実質金利が高いまま非エネルギー企業の利益が低下し、信用調達コストまで上昇すれば、指数の安定はリスクを覆い隠した結果かもしれません。どちらの経路も、現時点のデータだけでは確定していません。

韓国株についても同じ区別が必要です。米国指数が安定しているからといって、関連企業の受注、現金回収、現在の株価まで確認できたわけではありません。各銘柄が利益を得る位置と、投資資金を調達する方法を個別に確認する必要があります。

公開資料に基づく情報提供を目的とした分析です。特定の証券の売買を推奨するものではありません。資料の基準日以降の価格と開示情報は別途確認してください。


  1. 米国財務省、2026年8月の名目国債利回りおよび2026年9月の名目国債利回り。8月24日と9月24日の値。2026年9月26日確認。 ↩︎ ↩︎

  2. Reuters、米国・イラン戦争に注目が集まる中、S&P 500は小幅安で終了、2026年9月24日。 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  3. 米国エネルギー情報局(EIA)、原油・石油製品の現物価格、2026年9月15日と22日の現物価格。ページの最終公表日は9月23日。 ↩︎ ↩︎

  4. 米国財務省、2026年8月の実質国債利回りおよび2026年9月の実質国債利回り。8月24日と9月24日の値。2026年9月26日確認。 ↩︎ ↩︎

  5. FactSet、アナリストは2四半期連続でS&P 500企業のEPS予想を引き上げ、2026年9月4日。利益予想の変化の終了日は8月31日。 ↩︎

  6. S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス、S&P米国指数メソドロジー、時価総額加重方式。 ↩︎

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